売り手市場への対応とは?

少子高齢化の時代には、介護需要が増加し、その担い手が足りなくなることを意味しています。段階世代が後期高齢者になり、仮に100万人の新たな介護需要が生まれるとすると、30万人の介護スタッフが必要となります。

介護ビジネスの立場でも、他の業種のビジネスと同様に環境適応を果して行かなければならないはずです。まず一つは介護スタッフの採用の問題があります。労働市場は売り手市場になるのです。

最近、私が良く知る若者が転職しました。内定をもらった企業は5つ。その若者は、給与などの処遇以上に、だらだらと残業が続くような働かせ方をさせない企業であること、自分自身とスキルを一番必要としてくれていること・・・この希望が叶うかどうかを見極め、ここという企業を選びました。もちろん、企業の採用担当が彼を選んだのですが、企業側が選ばれたとも言えます。転職後1年が経過して彼は自分の選択に満足しています。

ここに採用活動を点検する一つのヒントがあります。優秀な人材が欲しいと思うならば、自分の会社が選ばれていることを自覚しなければならないと思います。

人手不足の時代にも優秀な人材を集めたいのなら、求職者をお客様と見立てて、マーケティングと同様の作戦を組み立てることです。マーケティングでは、
 ・ 自分の施設・企業は、どんなお客様をターゲットにするのか?
 ・ そのお客様に売り込むものは何か、お客様にとって魅力ある価値は何か?
 ・ どのようにお客様に伝えて行くのか?
と、言うようなことが問われます。

有料老人ホームが採用で勝つには

以上のことを採用という仕事に当てはめると
(1) 採用したい人材の具体的なイメージは明確になっているか?
(2) 我が施設は、他の施設と比べてどのような違いがあるのか?
(3) その違いは、介護スタッフにとって魅力的なものか?
という問いになるかと思います。

まずは(1)のどんな人を採用したいのか?
・ 介護の仕事が好き
・ できれば、介護の一通りの技術を持っていて欲しい
・ いや、未経験でも向上心に溢れ、自身の技術を更に磨きたいとの意欲がある

仮にも、このような人材が欲しいとしましょう。そうであれば、このような人材から選ばれる施設でなければならないということです。

次に(2)の他施設との違いとは何でしょうか?
他の施設との違いとは、スタッフとしてその施設で働くようになると、その人が何を得られるのかということに関する違いです。それは、給与が高い、福利厚生が立派など一方的にスタッフが与えられる処遇の話ではありません。スタッフとして働くことそのものに関わるベネフィットの違いと言えるかも知れません。

我が施設は、
・ 何よりもお客様である入居者を大切にしている
・ 法令を遵守するだけでなく、優れたサービスを提供する体制を整えている
・ スタッフにキャリアパスを明示している。スタッフの努力によって仕事の裁量が増えるとともに昇進や昇給などが可能である
・ スタッフの育成に力を入れるとともに、自主性を尊重した改善活動等に参加する機会を提供している。
などなど、他の施設にない強みを持っているというようなことです。

最後の(3)についてはいかがでしょうか?
求職者が生涯安定して働きたいという人なら、お客様を大切にする姿勢に誇りが持てることや、キャリアパス、自身成長の機会があることが魅力となるでしょう。また、求職者が家庭と仕事の両立を目指す女性であれば、残業を許容する風土やメリハリのない仕事の仕方を嫌い、ワークライフバランスに配慮する施設を選ぶことでしょう。こうして、施設と介護スタッフのウィン・ウィンが実現します。

施設と介護スタッフのウィン・ウィン実現のために

人手不足の時代にあっても、立派に戦える施設・企業として生き残るには、スタッフにとって魅力があり、スタッフ満足を目指すことです。それをつくるのは、会社を上げた経営の課題でもあると思いますが、いかがでしょうか?

現状は、ただでさえ忙しい、入居者に毎日サービスすることだけでも手一杯。どうしたら、誇れるサービスにして行けるか。どうしたら、研修や改善活動の時間をこじ開けることができるか。どうしたら、生涯働ける給与体系の原資を生みだすことができるか・・・どうしたら、あるべき姿の実現に向かうことができるのでしょう。

まずは、長期的な戦略を定めることだと思います。「2025年」に向けて、しっかりと戦略的な方向を定め、それを実現する条件づくりをして行かなければならないと思います。

もう一つのご提案は、落胆することなく、冷静に業務の現状を見て見ましょう!・・・と言うものです。「この現状は如何ともしがたい」と諦めた瞬間に、問題解決の智慧を失います。そのためにも、業務の現状分析をして、まだまだやれることがあると確信を深めましょう。

われわれは、そのような立場から業務の現状分析や改善のお手伝いをしています。こちらから確認し、お問い合わせ下さい。